荻野ミカです。
テープ起こしを始めて20年ぐらいです。
歴年数はベテランなのに単価は初心者です。
そんな私が本当に使っているヘッドホン「T1」をご紹介します。
もくじ
『テープ起こし』屋的「T1」のご紹介
T1はドイツbeyerdynamic社のヘッドホン。
購入当時(2013年3月)は同じくドイツのゼンハイザーのHD800と並びハイエンドの入り口的存在でした。
現在、T1は後継機種の 2nd Generationにモデルチェンジし、HD800は800Sとなって遙かな高み(価格的な意味で)へ行ってしまいました。
「T1」と「T1 2nd」の違い
T1とT1 2ndの違いはリケーブルできるかどうか。ヘッドホンの構造や性能自体は同じ……らしいです。
正直聞き比べたことはありません。
どうせ聞き比べても私にはわからない(断言)ですしね。
なのでどちらでもOKです。
購入価格と購入日と購入店
購入当時の相場は13万ぐらい。限定タイムセール8万で買えてラッキーでした。2013年4月に楽天のイケベで買いました。
購入理由
当時あまりにも音の悪い案件ばかりで疲れ果て、なんかすごいヘッドホンを買えば楽になるんじゃないか、と思ったからです。
テープ起こしをやっている人にならわかってもらえると思いますが、
まーた音悪いやつかよ
というアレです。
最終的に「T1」選択に至った理由
まずネットのレビューなどを参考に評判の高い機種をいくつか選びました。
そこから「仕事のため」という言い訳があればまあまあ出せそうな金額(10〜15万)だったゼンハイザーのHD800とT1の2機種に絞りました。
今から思えば他にも候補はあったと思いますが、何せよくわからなかったので有名なやつ。最後の決め手はイケベのタイムセールです。つまり安く買えたほう。
試聴はせずにレビューのみで決めました。聞いてもよくわからないので。
とはいえ、いろいろな人のレビューを見て、どちらかというとT1のほうがテープ起こしに使いやすそうだと思ったのも確かです。
「HD800」より「T1」がテープ起こし向きなヘッドホンだと思った理由
レビューから私が妄想したそれぞれの機種の印象です。
「HD800」は空間系成分強調型
HD800は「空間の広がりが〜」的なものであるようでした。
空間の広がりを感じさせるということは反響音をきれいに拾うので、音楽を聴くには気持ちいいけど声の輪郭はぼやけるかも。
なので、テープ起こしには向かないのではないか。
ゼンハイザーはイヤホンのIE800とヘッドホンのHD600(650ではなく)を持っていて、確かにそんな傾向はあるのでまあそうなんだろうと。
「T1」は原音忠実系
T1はあまり味付けのない原音忠実系、ひたすら透明感系という評判だったので、余計な味付けがない分、テープ起こしに向いているかもしれないと感じました。
いずれにせよこの段階では試聴していないのであくまで憶測というか妄想でしたが、T1に関しては評判どおりでした。
でもどっちも最高
わかったようなことをいろいろ言っても、このクラスになるとめちゃくちゃいい音です。テープ起こし用には完全にオーバースペックです。そういう意味ではどっちでも最高です。
HD800は声の輪郭がぼやけそうとか言いましたが、強いて言えばそういう傾向にあるというだけです。聞き比べたわけではないので断言はしませんが、HD800で聞こえないものがT1で聞こえるかというと、そんなことはまずないと思います。
同様に、T1で気持ちよく音楽が聴けないのかというとまったくそんなことはありません。
「T1」を『テープ起こし』用ヘッドホンとしてすすめる? すすめない?
テープ起こし用にはまったくすすめられません。
すすめない理由は高すぎるから
ハイエンドに限らず、だいたい1万円以上のイヤホン・ヘッドホンの実力を引きだすにはヘッドホンアンプが必要です。
イヤホンが1万ならアンプは2万、3万なら6万というふうに、イヤホン・ヘッドホン価格の2倍の価格のアンプが必要と言われています。
正直、3万以下ならアンプはなくてもいいかなとも思うのですが(ただし、あるのとないのとでは全然違います)さすがに10万超えのイヤホン・ヘッドホンはアンプがなければろくに音が鳴りません。
……で、T1用にTEACのUD503という、当時15万ぐらいだったヘッドホンアンプも買いました。
なのでT1と合計で20万ちょっとです。
当時のT1の相場13万からいえば26万のアンプが必要ということになるけど、そこは都合よく買値の8万を採用しました
どう考えてもテープ起こしのためだけに出す値段じゃないです。
あとね……タイトルで『テープ起こし』屋の私が本当に文字を起こしているとか言っておきながらなんですが、正直ここまで高性能のイヤホン・ヘッドホンをテープ起こしの仕事で使うことはめったにありません。
めったに使わないものに20万超はコスパが悪すぎます。
人にはすすめないのになぜ買ったのか
前述したように、あまりに音が悪い案件が多くて少しでも楽になりたかった、というのがメインの理由ですが、好きな音楽をいい音で聴きたかったからというのもあります。
買った意味は「うれしい」以外あまりなかった
買ってみてどうだったかというと、文字どおり高い買い物でした。理由は以下の2つ。
- 音が悪い案件はすべて断ることにしたので楽になる必要がなくなった
- 私が好きな音楽は高級機が得意とする繊細な音と非常に相性が悪く、実際に聴いてみたらなんかもう一つだった
控えめに言ってかなりの大誤算です。
とはいえ、私程度のイヤホン・ヘッドホン好きにはちょっと想像を絶するいい音が出るのでとてもうれしいです。
数少ない買って良かったところ
いくら音の悪い案件をすべて断るといっても、大事なお客様の案件は断らないし全力で不明箇所をつぶしにいきます。そんなときには本当にT1が不可欠。メインで使っているAirPods Proでは聞き取れなかった箇所が、半減するまではいかないまでも2〜3割は減ります。
不明箇所が2〜3割減るってすごいことですよ。
現在はT1じゃなきゃダメなケースは年に一度あるかないかですが、まさかのときの保険として本当に安心です。
『テープ起こし』には何らか高いイヤホン・ヘッドホンがあったほうがいい
お高めのイヤホン・ヘッドホンを持っておくと
イヤホン・ヘッドホンの性能が悪いから聞き取れなかったわー
という責任転嫁ができなくなるので言い訳つぶしになります。精神論ですがとても大事なことだと思います。
具体的にいくらが「お高め」なのかは人によるのでなんとも言えませんが。